ジョージアの「1%税制」の、本当のところ|条件・上限・対象外
「1%」は本当。ただし条件つき
ジョージアには Small Business Status(SBS) という制度があります。個人事業主(IE=Individual Entrepreneur)として登録し、この地位を得ると、売上に対して実質1% の課税になります。
数字自体は本当です。ただし、この1%には条件がいくつもあります。 条件を知らずに動いて後から「話が違う」となるのが一番もったいないので、都合の悪い部分から先に書きます。
条件その0:これは実質、ジョージアで暮らす人の制度です
IE・SBSはジョージアの税制です。日本に住んだまま登録しても、日本での申告・納税義務は1円も変わりません(後述)。当社は、日本在住のままの方にIE登録だけをおすすめしていません。ジョージアへの移住・中長期滞在を検討している方向けの制度として読んでください。
条件その1:売上の上限がある
- 年間 500,000 GEL(日本円でおおよそ2,600万円前後。為替により変わります)までが1%
- 超えた分は、その年3%
- 2年連続で上限を超えると、3年目の1月1日にステータスが自動で外れる(以後は通常の課税)
農泊(アグリツーリズム)だけは上限が 700,000 GEL です。
条件その2:はずされる業種がある
ここが一番の落とし穴です。次の業種は SBS の対象になりません。
金融・銀行/法律サービス/会計・監査/コンサルティング(除外される範囲は解釈に幅があります。コンサルティング業の方は、登録前に必ず現地会計士に確認してください)/保険/両替業/賭博・ゲーミング/不動産仲介/医療/建築/公証/人材派遣/課税対象品(酒・たばこ等)の製造 ほか、ライセンスや許可が要る業種
さらに 2025年2月1日から、ジョージアの法人・団体・個人事業主に対して提供する建設関連サービスの所得も、SBSの対象外になりました。
まず「自分の事業がここに入っていないか」を確認する。 話はそこからです。
条件その3:1%が効かない「所得の種類」がある
SBSは事業の売上(役務の提供・物販)に効く制度です。次の所得は1%の対象になりません。
- 不動産の賃貸収入
- 配当
- 利子
- ロイヤリティ
- 賭博の利益、相続財産
つまり「株の配当を1%にしたい」「不動産収入を1%にしたい」という使い方はできません。
条件その4:申告は毎月ある
SBSを持つと、ジョージアの歳入庁(RS.ge)に毎月の売上申告が発生します。売上がゼロの月でも申告は必要です。
そして重要な点として、この毎月の申告は、当社のサービスに含まれていません。 お客様ご自身が RS.ge で行っていただくことになります(現地の会計士に依頼される方もいます)。ここを誤解したまま進むと、後から困ります。
日本側はどうなるのか(ここは税理士の領域です)
これは制度の説明としてだけ書きます。判断は必ず税理士にお願いしてください。
日本に住んでいる方(居住者)は、全世界のどこで得た所得であっても、日本で申告・納税するのが原則です。海外で事業所得があっても、それは日本の申告から消えるわけではありません。二重課税を調整する仕組み(外国税額控除)はありますが、「海外に登録したから日本の税金がなくなる」ということはありません。
なお、よく話題になる CFC(外国子会社合算税制)という制度もあります。ご自身のケースに関係するかどうかを含め、この段落の内容はすべて税理士にご確認ください。
では、IEは何のために使うのか
※以下は、ジョージアに移住して現地で事業を行う方の話です。
「税金が1%になるから」だけで決めると、たいてい話が合わなくなります。実際に使われている理由は、もっと地味です。
- 海外の取引先に請求書を出せる事業主体を持てる
- 現地の事業用口座で、取引先からの入金を受け取れる
- 事業の実態を、書類の形で説明できるようになる
1%は結果であって、目的ではありません。
GRENAがやっていること/やらないこと
やること:IE登録に必要な書類の整備と翻訳、提携法律事務所への連絡の取り次ぎ。現地での申請手続は提携法律事務所 TREX LEGAL が行います。
やらないこと:
- 税務の助言・判断(税理士の領域です)
- 法律の助言(弁護士の領域です)
- 毎月のRS.ge申告の代行(お客様ご自身、または現地会計士)
📎 手続きで実際に何を用意するのかは 記事③:自分で用意する書類ぜんぶ(取り方つき) にまとめています。
大事なお断り
- 本記事は税務助言ではありません。 ご自身のケースについては必ず税理士にご相談ください。
- 制度の適用可否・数値は、ジョージア歳入庁(RS.ge)と現地会計士でご確認ください。 制度は変更されます。
- 記載は2026年8月17日時点の一般的な情報です。
- 「1%になること」を保証するものではありません。業種・売上・登録状況・居住や滞在の状況により適用されません。
出典
- Andersen in Georgia「1% Tax Regime」 https://ge.andersen.com/1-tax-regime/
- Gegidze「Full List of Prohibited Activities that Nullify SBS」 https://www.gegidze.com/post/the-full-list-of-prohibited-activities-that-nullify-georgia-s-small-business-status
- ExpatHub「1% tax: IE/Small Business Status」 https://expathub.ge/tax-freelancers-individuals-small-businesses-georgia/
- IBCCS「Georgia 1% Tax Regime 2026」 https://www.ibccs.ge/post/georgia-s-1-tax-regime-a-guide-to-individual-entrepreneur-and-small-business-status
- Espero「Activities that do not fit under Small/Micro Business」 https://espero.ge/articles/en/activities-that-do-not-fit-under-small-business-and-micro-business.html
- ジョージア歳入庁 https://rs.ge/
- Tax Code of Georgia(第88〜90条)=制度の原文 https://matsne.gov.ge/en/document/view/1043717
本記事は一般的な情報の提供であり、税務・法律の助言ではありません。口座開設・登記の可否は各銀行・当局の審査によります。当社は銀行代理業(預金契約の締結の代理・媒介)を行いません。